英国アンティークの折りたたみナイフ
投稿日: 投稿者:WATANABETAIGA
折りたたみナイフの魅力
当店では英国アンティークの小型の折りたたみナイフをよく仕入れています。
もちろんアンティークの大型のナイフというのもあるのですが、刃渡り15cm以上の刃物の輸入は法律による規制があるため、小型のものを中心に扱っています。
現在のイギリスにあまり刃物のイメージはないかもしれませんが、18世紀に始まる産業革命でシェフィールド市を中心に刃物産業が発展し、優秀な刃物を製造していました。
第一次世界大戦以降はイギリスの優秀な刃物職人たちはアメリカに移民し、イギリスの刃物産業は衰退していきました。
日本でも肥後守と呼ばれる折りたたみナイフが古くからあり、現在でもビクトリノックスなどの小さな折りたたみナイフはアウトドア好きな方を中心に人気があります。
特に男性はこうした小さな刃物に魅力を感じる方が多いと思います。
昔の英国紳士たちもこうした折りたたみナイフを必需品としてチョッキのポケットなどに忍ばせていたようで、いまでもたくさんの折りたたみナイフが残っています。
ペンナイフ
「ペンナイフ」とは「羽根ペン」と呼ばれる鳥の羽から作られたつけペンの一種であるペンの先を削るための小さなナイフです。
羽ペンは19世紀中頃まで主要な筆記具として利用されていました。
鳥の羽を削って整形するだけですので、ブレード(刃)はそれほど硬さや鋭さが必要なく、純銀(スターリングシルバー)で作られた物が多いです。
ハンドルは白蝶貝(マザーオブパール)などでできたものが多く、白蝶貝のハンドルや純銀のブレードに美しい装飾が施されているものもあり、見た目にもとても美しいナイフです。
現在では羽根ペンを使う人はほとんどいないでしょうし、小型でブレードが柔らかい純銀製なのでナイフとしての用途は限定されます。
大きめのものならこの後で説明するフルーツナイフとして使ったり、封書を開く際に使うレターオープナーとして使ったりもできます。
フルーツナイフ
ペンナイフより少し大きめのナイフで、果物の皮を向いたりするのに使っていたナイフです。
こちらもブレード(刃)は純銀製のものが多く、炭素鋼の刃は果物の酸ですぐサビてしまうので純銀が使われていました。
ステンレスが普及してからはブレードがステンレスになっているものもあります。
果物自体が貴重で高価な時代ですので、こうしたナイフを持っていたのは富裕層でした。
白蝶貝や純銀のハンドルには手の込んだ装飾が施されたものが多いです。
マルチツール、シガーナイフ
マルチツールとはナイフの他にペンやヤスリ、コルク抜きなど複数のツールがついた折りたたみナイフのことです。
現在でもビクトリノックスなどのマルチツールがありますが、このようなものはアンティークにも存在し、意外と歴史が古いです。
シガーナイフは葉巻を吸うときに葉巻の先をカットするための小さなナイフです。
持ち歩きしやすいようアルバートチェーンのフォブになるような小さなものが多いです。
マルチツールやシガーナイフは上記のペンナイフやフルーツナイフに比べると、実用性が重視されるためシンプルなデザインのものが多いです。
ブレードが炭素鋼でできているものが多いため、サビで劣化しているものが多く、残っている数はそれほど多くありません。
まとめ
アンティークの折りたたみナイフは小さくて場所も取らず、美しい装飾が施されているものも多いです。
ペンナイフなどは比較的たくさん残っているのでアンティーク品としては安く手に入れられるものもあり、最初に手に取るアンティークの入り口としてもおすすめです。
レターオープナーなどとして日頃の生活の中で実際に使える魅力もあります。